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  • 執筆者の写真michiyotrio0614

"きみ"がお空に帰った日①

アーティストメンタルサポーター、山口美智代です♪


※はじめに※ 今回はわたしの流産経験についてお話します。 見たくない方は読み飛ばしてください。 心身がすぐれない方はご注意ください。





はじめての妊娠


妊活を始めたのは結婚して一年経った頃でした。


30で初めての彼氏ができて、お付き合い一年、同棲3ヶ月でプロポーズをもらい、その2ヶ月後に入籍。

今まで何もなかったぶん、とんとん拍子に進んだ結婚でした。


授かりものなのでそんなにすぐにうまくいくとも思ってませんでしたが、意外にも妊活を始めて半年ほどで検査薬の反応がありました。


気づくのが早かったらしく、初めての産科に行ったときはまだ胎嚢(赤ちゃんが入る袋)が見えるのみ。


周りのベビーラッシュに触発されてたのもあり、体の変化には敏感になってたみたいです。

妊娠がわかった途端に、軽めのつわりがスタート。


本当に人間の身体って不思議なもので、今まで大好きだったカレーのにおいや、ごはんの炊けるにおいが気持ち悪くなるんですよね。


食欲が減ってきたわりに、朝起きるとお腹が空きすぎて気持ち悪くなる。

でも冷たいものやさっぱりしたものしか食べられない。


世のお母さんたちはみんなこんな経験をしてきたのかと、尊敬の気持ちがより深まりました。


"きみ"と出会えた日


2回目の診察。 不安定ではありましたが心拍が一応確認でき、「"きみ"にようやく会えたんだ」と嬉しくなりました。


妊娠をより実感したと同時に、つわりがレベルアップ。


わたしはけっこうつわりがキツイ方みたいで、におい、吐き、眠り、食べづわりとほぼすべての症状を経験しました(笑)


不幸中の幸いかその月は閑散期で、レッスンがちょこちょこ入ってるのみだったので、それ以外の仕事をできるだけ入れないようにしながらなんとか過ごしていました。


まだ教室にも妊娠は伝えておらず、この時状況を知ってたのは旦那さんと両親、旦那さんのご両親だけでした。


つかの間の妊婦体験


どのくらい成長してるのかワクワクしながら3回目の検診へ。

いつもより超音波検査が長い。先生も無言。

少しして「残念だけど心臓が止まってるね」と言われました。

あまりの衝撃にまだ状況が呑み込めませんでした。


呆然としながら診察室に戻ると、「稽留流産ですね」と言われました。


赤ちゃん側が原因でお母さんは悪くないこと、医者も防げるものではなく、誰にもどうしようもできないものだということを告げられました。


「もし納得できなければもう一週様子を見てみてもいいけどどうする?」と聞かれたけれど、もう一週待って心臓が再び動く可能性はほとんどないとのことで、手術を受けることを決意。


手術の説明を受け、検査をし、この日の診察は終了。

迎えに来てくれた旦那さんと合流して初めて涙が出ました。


正直2回目の診察で心臓が不安定だったので、多少の不安はありました。

けど、それが現実になってしまったかと思うと、悲しくて仕方ありませんでした。


改めて「人生そううまくはいかない」と実感しました。


帰宅後、母親にも泣きながら電話で報告。

レッスン教室にも一週間の休みを入れてもらいました。


その日は一日中泣きました。


見るのがつらい


翌日はレッスン日。 お休みをもらっても良かったのですが、家でじっとしているよりマシだと思い、出勤することにしました。


街を歩いているといろんなところで妊婦さんや赤ちゃんを見かける。

SNSでも、知り合いの赤ちゃんの投稿や、育児に奮闘するパパママのつぶやきが。


”きみ”はもうお腹にいないのに、つわりの不快感だけが続いている。

そのたびに、悲しい気持ちが溢れてきました。


精神的に不安定だったのもあり、子供につらくあたる親や、育児の愚痴を書いている投稿を見て怒りが込み上げることもありました。


翌日は手術。 今まで病気やケガとはほぼ縁がなかったので手術も初めて。


夜には悲しみに加えて恐怖も感じはじめ、この日も泣きながら一日が終わりました。


さよならの日


手術当日。 旦那さんに見送られて朝一で受付。


診察を待つ間も待合室の妊婦さんや赤ちゃんを眺めながら必死に泣くのをこらえました。


診察室に呼ばれ、手術のために子宮口を広げる処置をする。 それがとにかく痛くて、金具の音も怖くて失神しそうになるほど。


わたしが過呼吸になりかけてたので、看護婦さんにも慌てて「深呼吸してもうちょっと頑張ろう」と言われました。


そのあと下っ腹に鈍痛を感じながら病室に向かい、ベッドで横になりました。


手術は昼からだったので、下腹部の痛みをこらえ、泣きながら4時間ほど過ごしました。


午前の診察が終わった昼過ぎにようやく呼び出され、手術開始。 固くて冷たい手術台の上で寝転がり、血圧を測る。


しばらく待った後、麻酔開始。 看護師さんが数字を数えたらわたしがそれに答える。


1を返したくらいで記憶がなくなり、そのあと麻酔から目が覚めたのは夕方頃でした。


ぐるぐると眩暈を感じながら意識を取り戻し、手術の片付けをする看護師さんを眺めながら「ああ、終わったんだな」と実感。


だんだん意識がはっきりしてくると下腹部に鈍痛が。 でもまだ体をうまく動かせない。

感情も戻ってきて、またそこで涙。

ようやく動けるようになったのは病院についてから8時間後でした。


泣きながら術後の診察と会計を済ませ、ようやく迎えに来てくれた旦那さんと合流。

朝から飲まず食わずだったので、旦那さんが用意してくれたジュースとパンをほおばり帰宅。


こんな時でもお腹は空くもので、帰ってからも泣きながらひたすらパンを食べていました。

今朝まであったつわりの症状もきれいさっぱり消えてしまっていました。


この日も泣いてばかりで、夜は熟睡でした。


胎内記憶の本との出会い


泣きながら眠り、朝目を腫らして起きる。という日々は術後の検診が終わる1週間後まで続きました。


メンタルヘルスの勉強をしていたおかげで自分や周りを責めるということはありませんでしたが、それでもつらい気持ちはすぐに消えるものではありません。


悲しい気持ちを受け入れて、泣きたいときに泣き、旦那さんや家族に甘えさせてもらうことでできるだけ溢れ出る感情を吐き出すようにしていました。


ある日ふと友達に竹内文香さんという漫画家のInstagramを勧められたのを思い出し、読んでみることに。


竹内文香さん本人の妊娠体験と、お子さんの胎内記憶の話がコミカルに描かれており、わたしと同じ稽留流産を経験されたとのことで、とても共感できる内容でした。


その中でも長女さんの胎内記憶の話が印象的で、少しでも気持ちを落ち着けられたらと、関連書籍を読んでみることにしました。


池川明 (著)「ママのおなかをえらんだわけは…。」


生まれる瞬間や生まれる前のこと、お腹に来たとき、空に帰る日のことなど、さまざまな胎内記憶のエピソードが載っています。


赤ちゃんは自分の目標を達成するために自分でパパとママを選んでいる お空の上からすべり台でママのお腹に降りてくる 兄弟姉妹は生まれる前に出会っている


など、たくさんのエピソードを集計してみると共通している部分が多いそうで、わたしも抵抗なく読むことができました。


お空に帰ってしまった子のエピソードでは、ママのお腹で食べるためのお菓子を忘れてしまったから取りに帰ったとか、兄弟にまだ来るなと止められたとか、なんだかクスっとしてしまうようなものばかり。


読みながら涙が止まりませんでした。


スピリチュアルが苦手なわたしですが、これが真実かどうかは置いといて、「そうであってくれたらいいな」というふうに思うようになりました。


心が救われるお話でした。


空に祈る


ようやく気持ちの整理もついてきたので、"きみ"のお墓を作りました。

小さな箱にエコー写真とお花、メッセージを書き添えて、箱の隣にはお菓子をお供えしました。


「もしまたお腹に戻ってきてくれるなら、今度はお菓子を忘れないでね」 「別の家族のもとに行ったらどうか幸せに暮らしてね」

そんなふうに語りかけながら毎日祈りました。


手術から1週間後、わたしは無事に仕事を復帰することができました。


もちろん悲しさが全部なくなったわけではないし、妊婦さんや赤ちゃんを見ると切なさがこみあげてくることに変わりはありません。


でも、この経験がきっと自分を強くしてくれるんだと前向きに捉えながら、わたしはまた新しい朝を迎えるのでした。


続く

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